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脳:成体の海馬ニューロン新生はストレス応答やうつ行動を緩和する

Nature 476, 7361 doi: 10.1038/nature10287

グルココルチコイドは、ストレス経験に応答して分泌され、多くの有益な恒常性維持機能を果たしている。しかしその一方で、グルココルチコイドの調節不全は認知障害やうつ病と関連付けられている。海馬はストレスホルモン受容体を高密度に持つ脳領域であり、ストレスやグルココルチコイドは成体海馬のニューロン新生を強く抑制する。ニューロン新生の減少は、不安障害やうつ病の発症に関係するとされるが、その直接的な証拠は得られていなかった。今回我々は、成体の新生海馬ニューロンが、ストレス応答の内分泌成分や行動成分の正常な発現に必要なことを示す。遺伝子操作または放射線照射のどちらかの方法で成体ニューロン新生を特異的に抑制すると、ニューロン新生不全マウスでは通常のマウスに比べて、中程度のストレスを受けた後のグルココルチコイド濃度の回復が遅くなり、デキサメタゾンによるグルココルチコイド濃度の抑制が低減することがわかった。このことは、海馬が視床下部–脳下垂体–副腎(HPA)軸の調節に果たす役割と一致する。ニューロン新生不全マウスは、 対照群と比較して、急性ストレス後の新規環境下での摂食忌避が増し、強制水泳試験での行動放棄が増え、快楽消失症の目安となるショ糖選好低下を示した。これらの知見は、海馬歯状回内の少数のニューロンが、海馬によるHPA軸の負の制御に重要であることを示しており、成体でのニューロン新生がうつ病に直接関与するという説の裏付けとなる。

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