Letter 遺伝:多発性硬化症における遺伝的リスクと細胞を介した免疫機構の主な役割 2011年8月11日 Nature 476, 7359 doi: 10.1038/nature10251 多発性硬化症は中枢神経系の一般的な疾患で、典型的には炎症過程と神経変性過程の相互作用により間欠的な神経障害が起こり、それに続いて進行性に身体障害が蓄積していく。疫学研究から、多発性硬化症患者の血縁者でこの疾患の発症率がかなり高くなる主な原因は遺伝要因であることが示されており、多発家系で連鎖を系統的に同定する試みにより、主要組織適合複合体(MHC)内の変異がリスクに対する個々の作用の中で最も大きいものであることが確認された。中程度の検出力の全ゲノム関連研究(GWAS)から、さらに20個以上のリスク遺伝子座が同定されており、多数の変異がそれぞれ中程度の影響を及ぼすことが、疾患感受性に重要な役割を担っていることが示されている。この疾患の感受性の原因となる遺伝的構造の大部分は明らかになっておらず、現在、個々の研究グループが扱える数を超えたサイズのサンプルの解析が必要になると予想される。本論文では、15の異なる国の23の研究グループによって集められたヨーロッパ系の9,772症例を含む共同GWASで、これまでに示唆されている関連のほぼすべての再現性を確認し、少なくとも29個の新規感受性遺伝子座をさらに同定したので報告する。我々は、MHC内で、HLA-DRB1のリスク対立遺伝子の特色を精査し、HLA-A遺伝子の変異がクラスI領域に起因する独立した防御効果の原因であることを確認した。免疫学的に関連のある遺伝子群は、この同定された遺伝子座の近傍にマッピングされるものの中に相当数含まれており、ヘルパーT細胞の分化が多発性硬化症の病因であることを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る