Letter 細胞:リボソームが触媒するペプチド結合形成の際の2段階に分かれた化学機構 2011年8月11日 Nature 476, 7359 doi: 10.1038/nature10248 天然のタンパク質合成の化学的反応、すなわちペプチド結合形成はリボソーム大サブユニットにより触媒される。結晶構造から、ペプチド結合形成の活性部位はすべてRNAで構成されていることが明らかになっている。最近では、RNAによる活性部位が、この非常に重要な生化学反応をタンパク質合成にふさわしい速度で行うことを可能にする仕組みが主に関心を集めている。リボソームに重要な官能基がないこと、pH依存性がないこと、エントロピーが触媒作用に主に寄与していることに基づいて、リボソームの役割は基質どうしを近づけることに限られていると考えられてきた。あるいは、ペプチジルtRNAの2′ヒドロキシル基の重要性と、ほぼ零に近いブレンステッド係数は、リボソームがプロトン転移ネットワークを連係させている証拠とする考え方もある。本論文では、ペプチジルtRNA類似体の反応中心内の5か所における速度論的同位体効果の解析に基づいて、ペプチド結合形成の遷移状態を明らかにする。得られた結果は4面体中間体の形成と求核性窒素からのプロトン転移は共に、無触媒反応とは対照的に律速段階で起こることを示している。これまでの説とは異なり、反応は完全に協調したものではなく、4面体中間体の崩壊は別個の速い過程で起こる。このことは、リボソームは基質を配置するだけでなく、律速となる遷移状態を変化させることにより化学触媒作用にも寄与していることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る