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脳:加齢に伴う作業記憶低下の神経基盤

Nature 476, 7359 doi: 10.1038/nature10243

正常な加齢に伴う認知不全(健忘、散漫、固執、実行機能の障害)の多くには、前前頭皮質(PFC)の機能低下がかかわっている。PFCは作業記憶を使って行動や思考を導いており、それらは情報化時代にあって不可欠な機能である。多くのPFCニューロンは、外からの刺激なしに持続的発火を維持できる興奮性ネットワークを介して、作業記憶に情報を保持している。この過程は脆弱で、神経化学的環境に強く依存する。例えば、環状AMPシグナル伝達が高まると、HCNおよびKCNQと呼ばれるカリウムチャネルが開くことで、持続的発火が抑えられる。正常な加齢に伴った分子の変化によって、作業記憶中のPFCニューロンの生理的特性が変化するかどうかは、我々の知るかぎりでは老齢サルのPFCニューロンからのin vivo記録はなされておらず、明らかではない。今回、こうした記録を初めて行い、加齢に従ってPFCの持続的発火に顕著な低下が起こること、最適な神経化学的環境を回復させるとこれを救済できることを示す。記録からは、PFC中のDELAY(遅延)ニューロンの発火頻度は加齢によって低下するが、CUE(手がかり)ニューロンの発火は加齢で変化しないことがわかった。加齢DELAYニューロンの作業記憶関連発火は、環状AMPシグナル伝達の抑制またはHCNまたはKCNQチャネルの阻害によって、より若齢の動物のレベルに部分的ながら回復した。これらの結果は、PFC背外側部での加齢に伴う認知機能低下に関する細胞基盤を明らかにしており、PFC回路が必要とする分子的条件を整えてやることで、生理的な完全性を救済できることを実証している。

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