Letter 発生:特定の転写因子によるヒト神経細胞の誘導 2011年8月11日 Nature 476, 7359 doi: 10.1038/nature10202 体細胞核移植や細胞融合、細胞系譜特異的因子の発現によって、さまざまなタイプの体細胞で細胞運命の変更が誘導されることが、これまでに示されてきた。我々は最近、Brn2(別名Pou3f2)、Ascl1およびMyt1lの3つの転写因子を組み合わせて強制発現することで、マウス繊維芽細胞を機能を持つ誘導神経(iN)細胞へと効率的に変換できることを報告した。本研究では、同じこれら3つの因子によりヒトの多能性幹細胞から機能的なニューロンを導入遺伝子活性化の6日後には早くも作り出すのが可能であることを示す。塩基性へリックス・ループ・へリックス転写因子NeuroD1を組み合わせると、これらの因子は胎児や生後のヒト繊維芽細胞もiN細胞に変換でき、それらの細胞は外来性転写因子の下方制御後にも、典型的なニューロンの形態を示し、複数の神経マーカーを発現していた。重要なことに、ヒトiN細胞の大部分は活動電位を生成でき、マウス皮質の初代培養ニューロンと共培養すると、多くは成熟してシナプス結合を受け取るようになった。以上の結果は、細胞系譜を決定する転写因子によって、ヒトの非神経性体細胞も多能性幹細胞と同様、直接ニューロンへと変換されうることを示している。これらの手法により、in vitroでの疾患モデルや将来的な再生医療への応用に向けた、患者特異的なヒトニューロンのロバストな作出が促進されるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る