Article 免疫:T細胞系列への細胞運命の指定と分化にTCF-1が果たす非常に重要な役割 2011年8月4日 Nature 476, 7358 doi: 10.1038/nature10279 脊椎動物の胸腺は、T細胞発生を誘導する環境を作り出している。マウスの胸腺内では、ノッチシグナルが多能性造血系前駆細胞にT細胞としての運命を課すのに不可欠だが、T細胞系列への細胞運命の指定と拘束を行う下流のエフェクターについてはよくわかっていない。今回我々は、転写因子であるTCF-1(T-cell factor 1、別名TCF7[transcription factor 7, T-cell specific])が、T細胞運命の指定の非常に重要な調節因子であることを示す。TCF-1は最も初期の胸腺前駆細胞で高度に発現しており、その発現はノッチシグナルによって増加する。最も重要なのは、TCF-1を骨髄前駆細胞で強制発現させると、T細胞誘導性のノッチ1シグナルがない状態でもT細胞系列細胞の発生を引き起こすことである。このようなTCF-1の誘導を受けた細胞のさらなる解析によって、T細胞特異的転写因子Gata3およびBcl11bやT細胞受容体の構成成分などの多くのT細胞系列遺伝子群が発現することが明らかになった。今回の結果は、ノッチシグナルがTCF-1を誘導し、次いでTCF-1がT細胞に必須の遺伝子群の発現を増加させることによってT細胞への細胞運命を刷り込むというモデルを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る