Letter 生化学:NMR分子フラグメント探索により決定されたミトコンドリア脱共役タンパク質2の構造 2011年8月4日 Nature 476, 7358 doi: 10.1038/nature10257 ミトコンドリア脱共役タンパク質2(UCP2)は、ミトコンドリア陰イオン輸送体タンパク質ファミリーに属する膜内在性タンパク質である。このファミリーのメンバーは、ミトコンドリア内膜を通過する小型分子の輸送を促進する。ミトコンドリア呼吸鎖複合体によりミトコンドリア・マトリックスから膜間腔へプロトンが輸送されると、電気化学ポテンシャルが形成される。この電気化学ポテンシャルの一部は、マトリックスへのプロトンの漏出などの過程により、熱として散逸する。この漏出、つまりプロトン電気化学ポテンシャルの「脱共役」は、主に脱共役タンパク質により媒介される。しかし、UCPによる脂質二重層を越えるプロトン輸送の機構はわかっていない。今回我々は、溶液NMR法を使って行ったUCP2の構造評価について報告する。膜タンパク質構造決定に関する難問の一部を克服するこの方法は、NMR残留双極子カップリング(RDC)に由来する配向拘束と、常磁性緩和促進(PRE)測定からの準定量的な距離拘束を組み合わせている。このタンパク質の局所二次構造は、プロテインデータバンクから得られる分子フラグメントを、DNAナノチューブ液晶中の弱く配向した試料からのRDCと最もよく適合するようにつなぎ合わせることで決定された。RDCにより、二次構造セグメントの相対的な配向も決定され、PREからの拘束に基づいて、それらセグメントの三次構造中の空間配置が与えられる。UCP2は、ウシのADP/ATP輸送体(構造が知られている唯一の輸送体タンパク質)とよく似ているが、ヘリックスセグメントの相対的な配向が異なっていて、その結果として、内膜のマトリックス側が大きく開いている。さらに、窒素酸化物で標識したGDPはチャネル内部に結合し、膜貫通ヘリックス1–4により近い位置にあるらしい。我々は、この生物物理的手法は他の膜タンパク質、特に他のミトコンドリア輸送体について、構造決定のみでなく、これらのタンパク質の基質輸送に関連したさまざまなコンホメーション状態の特徴を調べるのに適用できると考えている。 Full Text PDF 目次へ戻る