Letter 生理:捕食者に見られる過剰な消化能力は食物量が大きく変動する生活を反映している 2011年8月4日 Nature 476, 7358 doi: 10.1038/nature10240 捕食者にとっての重要な難問は、被食者の分布が空間的および時間的に不均一な場合に正のエネルギー収支を得ることである。生態の不均一性は、捕食者の生理的設計に進化的トレードオフ関係を生み出す。これは、食物量が豊富になる散発的な機会を十分に活かすためには、高い食物処理能力が必要だが、そうした高い能力を維持するにはエネルギーコストがかかり、それが食物の乏しい期間には重い負担となるからである。生理学の近年の進歩により、動物は採餌機会の変動が予測可能な場合に、消化器系を速やかに調整して採餌機会の変化に追従することによって、エネルギーのトレードオフを調節している可能性が明らかになっている。しかし、動物の採餌機会は予測不可能であることがしだいにわかってきており、この場合、摂食量(負荷)の平均レベルを超える食物処理能力を維持する動物が有利になると考えられる。この量的な進化設計の基本原理にもかかわらず、野生動物での消化の負荷と能力との比はほとんど算定されていない。今回我々は、自然界の捕食者の消化器系に関する消化の負荷と能力との比を魚類38種に関して639例集め、詳細に評価した。その結果、魚類捕食者は一般に、1日当たりに経験する平均摂食量の2〜3倍を摂食できる生理的能力を維持していることがわかった。食物処理能力と代謝コストとのトレードオフ関係を数値的にシミュレーションした結果、自然界においては、捕食者と被食者との遭遇、ひいては捕食者のエネルギー収支が従来の想定よりもはるかに変動しやすい場合に限って、今回観察されたレベルの生理的な「日和見主義」が有利になることが示唆された。 Full Text PDF 目次へ戻る