Letter 免疫:ジゴキシンとその誘導体はRORγt活性に拮抗することによりTH17細胞分化を抑制する 2011年4月28日 Nature 472, 7344 doi: 10.1038/nature09978 インターロイキン17を発現するヘルパーCD4+ Tリンパ球(TH17細胞)は、自己免疫疾患マウスモデルに非常に重要な役割を担っており、またヒトの炎症過程にも影響を与えることを示す証拠が増えつつある。ヒトの全ゲノム関連解析では、TH17細胞の分化と機能に関与する遺伝子群と、クローン病、関節リウマチおよび乾癬に対する感受性とが関連付けられている。したがってTH17細胞の分化経路、およびおそらくは同様のエフェクター機能を持つ近縁の自然免疫系のリンパ系細胞の分化経路も、治療用の標的として有望と考えられる。マウスとヒトのTH17細胞は、マウスでのIL-17転写誘導とTH17細胞依存的自己免疫疾患の発症に必要なレチノイン酸受容体関連オーファン核内受容体RORγtの発現によって区別される。我々は、昆虫細胞を用いたレポーター系により化合物のスクリーニングを行い、強心配糖体であるジゴキシンがRORγt転写活性の特異的阻害剤であることを突き止めた。ジゴキシンは、マウスのTH17細胞分化を阻害するが、他のT細胞系列への分化には影響せず、またマウスの自己免疫疾患の発症遅延と重症度の軽減に有効であった。高濃度のジゴキシンはヒト細胞に毒性があるが、毒性を示さない合成誘導体20,22-ジヒドロジゴキシン-21,23-ジオールとジゴキシン-21-サリチリデンは、ヒトのCD4+ T細胞でIL-17の誘導を特異的に阻害した。これらの低分子化合物を用いて、RORγtがマウスとヒトのエフェクターT細胞におけるIL-17の発現維持に重要であることが実証された。これらのデータは、ジゴキシン誘導体が、RORγtを標的にして炎症性のリンパ球機能と自己免疫疾患を抑制する治療薬の開発のための、化学的なテンプレートとして使えることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る