Letter 細胞:TLRシグナル伝達はミトコンドリアのROSを介してマクロファージの殺菌作用を増強する 2011年4月28日 Nature 472, 7344 doi: 10.1038/nature09973 活性酵素種(ROS)は細胞内の細菌に対する自然免疫応答の非常に重要な構成要素で、専門食細胞は主にファゴソームのNADPHオキシダーゼ装置を介してROSを生成すると考えられている。しかし最近の研究で、ミトコンドリアのROS(mROS)もマウスのマクロファージの殺菌作用に寄与することが示唆されているが、自然免疫のシグナル伝達とミトコンドリアを結びつけmROSを生成させる機構は明らかにされていない。本論文では、Toll様受容体の一部(TLR1、TLR2およびTLR4)にリガンドが結合すると、マクロファージのファゴソームへミトコンドリアが動員され、mROS生成が増大することを示す。この応答にはTLRシグナル伝達のアダプターであるTRAF6(tumour necrosis factor receptor-associated factor 6)のミトコンドリアへの移行が含まれ、TRAF6はミトコンドリアで呼吸鎖複合体の組み立てに関与するとされているタンパク質のECSIT(evolutionarily conserved signalling intermediate in Toll pathways)と会合する。ECSITはTRAF6との相互作用によって、ユビキチン化を受け、ミトコンドリア周辺部へ集積するようになり、その結果、ミトコンドリアおよび細胞のROS生成が増加する。ECSITやTRAF6が大幅に減ったマクロファージでは、TLRによって誘導されるROS濃度が低下して、細胞内細菌に対する殺菌能が大幅に低下する。さらに、ミトコンドリアでのカタラーゼ発現によってマクロファージのmROS濃度を低下させると殺菌作用が損なわれ、これは殺菌能にmROSが役割を担うことを実証している。これらの結果は、自然免疫のシグナル伝達をミトコンドリアに結びつける新しい経路を明らかにし、mROSが抗細菌応答の重要な構成要素であることを示し、さらにミトコンドリアが自然免疫のシグナル伝達のハブであることを確証している。 Full Text PDF 目次へ戻る