Letter

医学:細胞運命決定因子Musashiによる骨髄性白血病の調節

Nature 466, 7307 doi: 10.1038/nature09171

慢性骨髄性白血病(CML)は、増殖の遅い慢性期から進行性の急性転化期へ移行することがあるが、この移行の分子基盤はよくわかっていない。今回我々は、CMLのマウスモデルを用いて、病気の進行がMusashi–Numbシグナル伝達経路によって調節されていることを示す。慢性期にはNumbの発現レベルが高いことが特徴的であるのに対して、急性転化期のNumbの発現は低レベルであること、またNumbの異所性発現がin vivoで分化を促進し、病気の進行を抑制することを見いだした。急性転化期におけるNumbレベルの減少について考えられる原因として、急性転化CMLに関連するがん遺伝子であるNUP98–HOXA9が、RNA結合タンパク質Musashi2(Msi2)の発現を誘導し、それが結果的にNumbを抑制することを明らかにする。特に、Msi2の欠損によりNumbの発現が回復し、急性転化CMLの発生と拡大がin vitroin vivoで顕著に抑制されることは重要である。また、Msi2の発現がヒトのCMLの進行の間に大きく増加するだけでなく、予後の悪さの早期の指標となることを示す。これらのデータは、Musashi–Numb経路がCML細胞の分化を制御できることを明らかにしており、この経路を標的とすることは進行性白血病の新たな治療戦略となる可能性がある。

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