Letter 発生:胚の多能性と関連するクロマチン標識はゲノム活性化の間に確立される 2010年4月8日 Nature 464, 7290 doi: 10.1038/nature08866 母性から胚性への転移(MZT)中に転写が開始されるまで、受精後の胚のゲノムは不活性化されている。この転移は多能性細胞の形成と同時に起こり、哺乳類では胚性幹細胞を作り出すために使われている可能性がある。多能性とゲノム活性化に付随して起こるクロマチン構造の変化を研究するために、我々は、ゼブラフィッシュのMZTの前後で、リシンがトリメチル化されたヒストンH3分子のゲノム上の位置をマッピングした。抑制的なヒストンH3リシン27のトリメチル化(H3K27me3)と活性化に働くH3K4me3は、MZT以前には検出されなかった。ゲノム活性化後は、遺伝子の80%以上にH3K4me3標識がみられ、これらにはH3K27me3によっても標識されていた多くの不活性な発生制御遺伝子が含まれていた。二段階クロマチン免疫沈降により、同じプロモーター領域が両方のトリメチル化標識をもつことが示された。このような両方の標識が付いたクロマチン領域は、胚性幹細胞でも存在しており、抑制を維持しつつ、活性化されるように遺伝子を準備させていると考えられている。さらに、H3K4me3標識のみをもつ多くの不活性遺伝子が見つかった。この活性化に働く修飾にもかかわらず、標識が1つしか付いていないこれらの遺伝子は発現しておらず、RNAポリメラーゼIIの安定的な結合もみられなかった。公開されているデータセットを解析したところ、胚性幹細胞でも同様の標識が1つだけの領域が示された。さらに、誘導性の導入遺伝子の解析で示されたように、H3K4me3標識は、配列特異的転写活性化因子とRNAポリメラーゼIIの安定的な結合のどちらもない場合でも形成できる。これらの結果は、標識の一方、あるいは両方が付けられた領域は共に、活性化に対して胚性遺伝子を準備させている可能性を示唆しており、多能性と関連するクロマチンプロファイルはMZTの間に確立されることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る