Letter 遺伝:ヒト遺伝子発現の多様性の基盤となる機構のRNA塩基配列決定による解明 2010年4月1日 Nature 464, 7289 doi: 10.1038/nature08872 遺伝子発現の自然なばらつきの基礎となる遺伝的機構の解明は、遺伝医学および進化遺伝学の両方の主要な目標である。また、発現量的形質遺伝子座(eQTL)の研究は、この目標を達成するための重要な手法となっている。現在までのeQTL研究はすべて、発現マイクロアレイを用いたメッセンジャーRNA量の解析だったが、RNA塩基配列決定法の最近の進歩によって、かつてないほど高い精度で転写産物の多様性を解析することが可能になった。我々は、国際HapMapプロジェクトで広く詳細な遺伝子型決定が行われた、血縁関係のないナイジェリア人集団から得られた、69のリンパ芽球様細胞株のRNAについて塩基配列を決定した。被験者すべてのデータを集積することで、これらの細胞の転写の全体像についてのマップを作製し、注釈が付けられていない非翻訳領域の大量使用や、新しいタンパク質をコードすると推定される100個以上のエキソンを同定した。HapMapプロジェクトの遺伝子型を使って、遺伝的多様性が全体的な発現量やスプライシングに影響を与えている1,000個以上の遺伝子を同定した。また、遺伝子近傍のeQTLは総じて、対立遺伝子特異的な発現などの機構によって機能すること、さらに、1つのエキソンを含むかどうかに影響する多様性が、スプライス部位のコンセンサス配列内やその近傍に豊富に存在することも示す。今回の結果は、個体集団全体の転写、スプライシング、および対立遺伝子特異的発現の多様性を統合して解析するために、ハイスループット塩基配列決定法が威力を発揮することを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る