Letter 細胞:生細胞での可逆的な二量体化によるEGF受容体活性化の空間的制御 2010年4月1日 Nature 464, 7289 doi: 10.1038/nature08827 上皮増殖因子受容体(EGFR)はI型受容体チロシンキナーゼであり、その脱制御はさまざまなヒト上皮性悪性腫瘍に関与するとされている。EGFRシグナル伝達は受容体の二量体化から始まり、これは一般に、リガンドに誘導される受容体細胞外ドメインのコンホメーション変化によって、受容体の会合に必要なループ(二量体化アーム)が露出されることによって起こると考えられている。リガンドの結合はまた、シグナル伝達に重要な受容体細胞質ドメインでのアロステリック変化を引き起こす可能性がある。このような手がかりがあるにもかかわらず、アンサンブル平均法では、in situでの受容体活性化の詳細な機構は決定されていない。本論文では、量子ドットを基盤とする単一分子の光学的追跡に、新しい時間依存的拡散分析を組み合わせて、生細胞上の個々のEGFRの二量体化の動態を示す。EGFRは、リガンド添加前にその二量体化アームによって動力学的に安定化された有限寿命の二量体を自発的に形成していた。この二量体は、リガンド結合とシグナル伝達の両方に対応するもので、EGFを添加すると迅速に、活性化と相関する非常に遅い拡散状態を示すようになる。リガンドが結合していない二量体の動力学的安定性は、原理的にはEGFに依存しない活性化に十分だが、シグナル伝達にはさらにリガンドの結合が必要であった。二量体は、アクチンや受容体発現に依存する形で細胞周縁部に多く存在したことから、EGFが誘発するシグナル伝達が細胞の周辺部で増強されることになり、これが増殖因子に対する極性のある応答を可能にしているのかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る