Article 細胞:脳腫瘍の間葉形質転換における転写制御ネットワーク 2010年1月21日 Nature 463, 7279 doi: 10.1038/nature08712 細胞の生理的状態へ、あるいは病的状態への移行を調節する転写調節ネットワークを導き出すことは、システム生物学の中心的難問として残されている。間葉表現型は、ヒトの悪性神経膠腫の腫瘍侵襲性の特徴であるが、それに関連する分子的特徴をもたらす調節プログラムについてはほとんど明らかにされていない。今回我々は、神経膠腫に特異的な調節ネットワークを逆行分析してバイアスなく照合することにより、悪性神経膠腫で間葉系遺伝子の発現を引き起こす転写モジュールを明らかにした。2つの転写因子(C/EBPβおよびSTAT3)は、間葉形質転換において相乗的なイニシエーターおよび主要調節因子であることがわかった。C/EBPβおよびSTAT3の異所性同時発現は、異常な間葉系細胞系譜に従って神経幹細胞を再プログラムするが、神経膠腫細胞でこの2因子を排除すると、間葉系の特徴が失われ、腫瘍の侵襲性は低下する。ヒトの神経膠腫では、C/EBPβおよびSTAT3の発現は間葉系への分化と関連し、臨床転帰の不良を予測させるものとなる。今回の結果は、小さな調節性モジュールの活性化が、がん細胞が異常な表現型を発現し、それを維持するのに、必要かつ十分であることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る