Letter 医学:EGFR T790Mに対する新規変異型選択的EGFRキナーゼ阻害剤 2009年12月24日 Nature 462, 7276 doi: 10.1038/nature08622 上皮増殖因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤のEGFR変異型非小細胞肺がん(NSCLC)に対する臨床効果は、T790Mゲートキーパー変異をはじめとする薬剤耐性変異の発生によって制限される。EGFR T790Mを標的として不可逆的阻害剤を使用する戦略の効果は限定的であり、野生型EGFRを同時に阻害することによる毒性と関連する。現行のEGFR阻害剤は、すべて構造的に関連しているキナゾリン系のコア骨格をもち、野生型EGFRに対するATP拮抗阻害剤であることが明らかにされている。今回我々は、EGFR T790Mに特異的に作用する不可逆的キナーゼ阻害剤ライブラリーのスクリーニングを行い、共有結合を形成するピリミジン系EGFR阻害剤を同定した。これらの薬剤は、キナゾリン系のEGFR阻害剤と比較して、in vitroでEGFR T790Mに対して30〜100倍の効力を示すが、野生型EGFRに対する作用は100分の1以下である。さらに、EGFR T790Mによってマウスに誘発される肺がんモデルに対しても効果を示す。共結晶化研究の結果から、これらの薬剤の効力および変異型選択性を増強させる構造基盤が明らかにされた。これらの変異型選択的な不可逆的EGFRキナーゼ阻害剤は、キナゾリン系阻害剤と比較して臨床的な有効性が高く、忍容性が高いと考えられる。今回の知見は、臨床上重要な変異型キナーゼに対する機能的・薬理学的スクリーニングは、新規クラスの変異型選択的キナーゼ阻害剤を見いだす際の有力な戦略であることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る