Letter 生化学:一酸化窒素還元酵素の構造と機能の合理的設計 2009年12月24日 Nature 462, 7276 doi: 10.1038/nature08620 タンパク質の設計は、タンパク質に関する知識の厳密な検証になり、また、生物工学上の用途のある新しい酵素の作出を可能にする。天然の酵素の構造的模倣であるタンパク質の設計は進歩してきたが、機能を備えたタンパク質の設計はそれよりも難しい。最近、非金属タンパク質の設計では複数の成功がおさめられたが、それに比べると、天然金属タンパク質の構造と機能の両方を再現する金属タンパク質の合理的設計は、さらに困難な問題である。それはタンパク質の金属結合部位が、金属イオンの酸化状態の違い、取りやすい配置、金属イオンとリガンド供与体の組み合わせに関して、金属を含まない部位に比べてはるかに多様だからである。この多様性が原因で、力場などのパラメーターの多くが明確に定められないため、金属結合部位の特性をコンピューターで予測するのが困難だった。したがって、構造的機能的に金属タンパク質の設計がうまくできれば、タンパク質設計の分野が大きく進歩し、酵素について解明が進むと考えられる。今回我々は、合理的設計により一酸化窒素還元酵素(NOR)の構造的、機能的モデルを得たことを報告する。これは、NORの活性部位におけるリガンドと予測される3個のヒスチジン、1個のグルタミン酸をミオグロビンの末端にあるポケットに導入することによっている。この設計タンパク質の結晶構造から、最小化コンピューターモデルに含まれるヘム/非ヘムFeB中心が、結晶構造中のヘム/非ヘムFeB中心と非常によく似ていることが確かめられた。この設計タンパク質は、NO還元活性も示すので、NORの構造と機能の両方のモデルであり、活性部位のグルタミン酸が鉄の結合と活性の両方に必要なことも示唆される。これらの結果は、適切な構造と機能を備えた金属タンパク質を、コンピューターによって合理的に設計できることを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る