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植物:シロイヌナズナのポリコーム標的遺伝子からの長いアンチセンス転写産物による低温誘導性サイレンシング

Nature 462, 7274 doi: 10.1038/nature08618

真核生物ゲノムの転写では、タンパク質をコードしない非常に多様な非コードRNAが作られるが、その機能的重要性についてはほとんど知られていない。我々は、非コードRNAとクロマチン調節の関連を、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)の開花期調節因子でいくつかのクロマチン経路の標的でもあるFLCの解析を通して研究している。本論文では、不偏的な方法を使ってFLCの非コード転写産物の特性を調べ、広範囲にわたる変異体や処理についてセンス転写産物とアンチセンス転写産物のレベルは相関関係にあるが、低温処理した植物ではこれらが独立に変化することを示す。長期にわたって低温処理すると、春化処理とよばれるポリコームを介した過程で、FLCのエピジェネティックなサイレンシングが起こる。我々のデータは、FLC遺伝子座全体にわたる長い非コード性アンチセンス転写産物の上方制御が、低温感知機構の一部である可能性を示している。このアンチセンス転写産物の誘導は、ほかの春化処理マーカーより早い時期に、それらとは無関係に起こり、これと同時にセンス転写が低下する。また、レポーター遺伝子にFLCアンチセンスプロモーター配列を付加すると、それだけでレポーター遺伝子の低温によるサイレンシングが起こるようになることを示す。これらのデータから、FLCのエピジェネティックなサイレンシングでは、低温によって誘導されるFLCアンチセンス転写産物が早い段階でかかわり、一時的にFLCの転写を抑える働きをすることが示される。次にポリコーム装置が動員され、エピジェネティックな記憶が付与される。遺伝子の3′末端から始まるアンチセンス転写は、対応するセンス転写を条件や段階に依存して調節する、一般的な機構なのかもしれない。

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