Article 細胞:がんに関連するIDH1変異によって2-ヒドロキシグルタル酸が生成される 2009年12月10日 Nature 462, 7274 doi: 10.1038/nature08617 酵素である細胞質型イソクエン酸脱水素酵素1(IDH1)における変異は、ヒトの原発性脳腫瘍の主要なタイプに共通する特徴である。これらの変異はIDH1の活性部位の単一のアミノ酸残基に起こり、その結果、イソクエン酸のα-ケトグルタル酸への変換を触媒する酵素の能力を失わせる。しかし、腫瘍で変異しているのはこの遺伝子のたった1コピーのみであることから、この変異が単なる機能喪失を引き起こしているのではない可能性が浮上する。本論文では、がんに関連するIDH1変異によって、この酵素に、α-ケトグルタル酸のR(−)-2-ヒドロキシグルタル酸(2HG)へのNADPH依存性の還元を触媒する、新しい能力が生じることを示す。構造研究から、アルギニン132がヒスチジンに変異すると、活性部位の残基の位置が変化して、イソクエン酸の酸化的脱炭酸反応の低下と、α-ケトグルタル酸の2HGへの変換能の獲得に一致した構造変化を生じることが実証された。先天性2HG代謝異常の患者では、2HGの過剰な蓄積によって、悪性脳腫瘍のリスクが上昇することが示されている。同様に、IDH1変異をもつヒト悪性神経膠腫では、2HGのレベルが大幅に上昇していることがわかった。これらのデータから、IDH1変異は、がん代謝物2HGの生成を引き起こすことが明らかになり、また、in vivoで蓄積する過剰な2HGが神経膠腫の形成と悪性進行に寄与することが示される。 Full Text PDF 目次へ戻る