Letter 地球:メッシニアン塩分危機後に地中海で起こった激変的な洪水 2009年12月10日 Nature 462, 7274 doi: 10.1038/nature08555 地中海は、約560万年前のメッシニアン塩分危機の際に世界の海から切り離されて、蒸発によりほとんど干上がった。大西洋の水が現在のジブラルタル海峡を通って急速に地中海をもう一度満たしたのは、533万年前のザンクリアン洪水として知られる事件においてである。この洪水の性質、急激性、および進展については、まだよくわかっていない。孔井や地震波のデータにジブラルタル海峡の両側で250 mを超える深さの切り込みがみられることは、乾燥時の河川浸食の結果であると従来考えられてきた。本論文では、海峡をまたいで200 kmの長さにわたる流路が連続していることを示し、山地の河川で立証されている切り込みモデルを適用して、この地形が洪水の際の水による浸食の結果であることを説明する。このモデルにより洪水の継続期間の推定も可能となる。利用可能なデータは限られているが、この発見からは、洪水初期の水流と切り込みの間に生じたフィードバックから、放水量は108 m3 s−1(現在のアマゾン川の3倍)であり、切り込み速度は1日当たり0.4 mであったことが示唆される。洪水は最大数千年続く可能性があった少ない放水量から始まったが、今回の結果は90パーセントの水が数か月から2年の短い期間で移動したことを示唆している。このような極めて突発的な洪水による地中海の海水準上昇速度のピークは、1日当たり10 m以上になることがあったかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る