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地球:水に富んだマントルウェッジ内の蛇紋石の変形により生成される海溝に平行な異方性

Nature 461, 7267 doi: 10.1038/nature08513

地震波異方性は、主に変形により引き起こされる異方性結晶の選択配向性を反映しているので、地球内部の対流パターンや変形様式を検出するうえで強力な手段となる。上部マントルの地震波異方性は一般に、カンラン石結晶の選択配向性がその原因であるとされるが、いくつかの沈み込み帯で観測される海溝に平行な強い異方性(1〜2秒の遅延時間)は、たとえマントルウェッジ全体が異方性の原因となったとしても、カンラン石の異方性により説明することは困難である。本論文では、上部マントルの主要な含水鉱物である蛇紋石の選択配向性が、沈み込み帯で観測される海溝に平行な強い地震波異方性を生成しうることを示す。高圧変形実験によると、蛇紋石のc-軸は変形時の剪断面に垂直な方向に回転する傾向があり、その結果として、剪断面(プレート境界)に垂直な方向に伝播する地震波速度はほかの方向に比べてずっと遅くなる。変形した蛇紋石集合体に対して見積もった地震波異方性は、カンラン石の異方性よりも一桁大きく、したがって水に富んだマントルウェッジ内の方向がそろった蛇紋石は、急角度で沈み込むスラブの場合には海溝に平行な強い地震波異方性をもたらすことになる。この仮説は、異常に遅い地震波速度からも推察されるマントルウェッジ内の含水相の存在とも矛盾しない。

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