Letter 神経:断眠による海馬サイクリックAMPシグナル伝達の阻害 2009年10月22日 Nature 461, 7267 doi: 10.1038/nature08488 何百万人もの人々が定常的に睡眠不足状態にある。断眠が我々の生活に何らかの作用を及ぼすということならば、断眠の影響を受ける細胞レベル・分子レベルの経路の解明は、明らかに社会的にも臨床医学的にも重要である。断眠が脳に及ぼす大きな影響の1つとして、海馬に依存した学習モデルで記憶障害を起こすことが知られている。今回、短い断眠が海馬機能を変化させる分子機構を同定した。断眠は、マウス海馬で3′, 5′-サイクリックAMP(cAMP)とプロテインキナーゼA(PKA)に依存したシナプス可塑性を阻害し、cAMPシグナル伝達経路を減弱し、cAMPを分解する酵素である4型ホスホジエステラーゼ(PDE4)の活性とタンパク質濃度を増大させた。マウスにホスホジエステラーゼ阻害剤を投与すると、cAMPシグナル伝達、シナプス可塑性、海馬依存的記憶の断眠による低下が回復した。これらの結果は、短時間の断眠により海馬の機能が撹乱されること、それはPDE4活性の増大を介したcAMPシグナル伝達の干渉によるものであることを示している。したがって、断眠の認知機能への作用を低減する新たな治療法として、cAMPシグナル伝達を増強する薬物が有用であるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る