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生化学:転移RNAリシジン合成酵素により保証される翻訳忠実度の構造的基盤

Nature 461, 7267 doi: 10.1038/nature08474

転移RNA前駆体(pre-tRNA)が成熟するには、5′リーダー配列と3′トレーラー配列の切除、イントロンの除去、そしてCCA末端の付加が必要である。ヌクレオチド修飾は、RNA分子が適切なコンホメーションをとった後、tRNAプロセシングのさまざまな段階で行われる。細菌では、tRNAIle2リシジンシンテターゼ(TilS)により、tRNAIle2のアンチコドン1文字目がシスチジンからリシジン(L; 2-リシル-シスチジン)に変わる。この修飾により、tRNAIle2がメチオニン特異的なものから、イソロイシンに特異的なtRNAへと変わる。しかし、TilSによる修飾の前に、メチオニルtRNAシンテターゼ(MetRS)によるtRNAIle2のアミノアシル化が起こると、イソロイシンのコドンが誤ってメチオニンに翻訳される可能性がある。この潜在的な危険を避けるために細菌で用いられている戦略は明らかになっていない。今回我々は、TilS酵素が特異的に、前駆体型のtRNAIle2の認識・修飾によって、翻訳の誤りを回避することを示す。RNアーゼEを欠損した大腸菌(Escherichia coli)から単離した前駆体tRNAIle2はリシジン修飾を受けていることがわかったが、一方、この修飾を欠いた成熟したtRNAIle2は検出されなかった。反応速度論的解析から、TilSは両方のタイプのRNA分子を同程度の効率で修飾できることが明らかになった。TilS・tRNAIle2複合体のX線結晶構造解析と変異体解析から、連続したドメインの動きに伴う、TilSとtRNAとの広範囲にわたる相互作用により、TilSは前駆体tRNAIle2のL字型の全体構造を特異的に認識することが示された。我々の結果は、TilSがMetRSによるtRNAIle2の認識を阻害し、基質tRNAを高い特異性で認識する仕組みを明らかにしており、これらの2つの重要な性質が細菌でのイソロイシンコドンの翻訳忠実度を維持する基盤となっている。今回の知見はまた、tRNA生合成過程における前駆体レベルでの特異的な修飾の必然性の根拠となる。

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