Article 進化:トゲウオの種分化におけるネオ性染色体の役割 2009年10月22日 Nature 461, 7267 doi: 10.1038/nature08441 性的拮抗、すなわち異性間での葛藤は、性染色体の転換と種分化の両方を引き起こす力があるといわれている。近縁種間で性染色体システムが異なることはしばしばあるが、性染色体の転換が種間での生殖隔離の進化に関与するかどうかについては、わかっていない。本研究で我々は、トゲウオ科のイトヨ(Gasterosteus aculeatus)で、新たに進化した性染色体が、種分化の原因となる遺伝子を含んでいることを示す。まず、1組の日本産同所種のうち、片方の種だけにみられるネオ性染色体システムを同定した。次に、この日本産の2種間での生殖隔離に重要な雄特異的形質の遺伝連鎖マッピングを行った。このネオX染色体には、行動隔離に関与する雄の求愛ディスプレイ形質の原因遺伝子座が存在しており、一方、祖先X染色体には、行動隔離と雑種雄性不妊にかかわる遺伝子座が存在していた。我々の研究は、脊椎動物の系において、生殖隔離に対してX染色体がもつ強い効果(large X-effect)を支持する強い証拠を示すだけでなく、「若い」ネオX染色体が、近縁種間での生殖隔離に関与することの直接的な証拠を示すものである。今回のデータは、性染色体の転換が種分化に、これまで考えられていたよりも大きな役割を担っている可能性を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る