Letter 物理:物理原理としての情報因果律 2009年10月22日 Nature 461, 7267 doi: 10.1038/nature08400 量子力学には、目立つ独特の特徴がある。例えば、量子物理学では確率的な予測しか得られず(非決定論)、また未知の状態を複製することができない(ノークローニングあるいは複製不可)。量子相関はどのような古典相関よりも強くなりうるが、情報は光より高速で伝達できない(ノーシグナリングあるいは通信不可)。しかし、このような特徴は量子物理学を一意的に定義するものではない。このような特性を共有し、量子相関よりももっと強い相関も可能なさまざまな種類の理論が存在する。本論文では「情報因果律」の原理を導入して、これは古典物理と量子物理によって順守されるが、最も強い量子相関より強い相関をもつすべてのノーシグナリング理論によって破られることを示す。この原理は、ある観察者(ボブ)が、別の観測者(アリス)がもつ、その内容がボブには全く未知のデータセットから得ることが可能な情報量と関係する。(アリスのリソースと相関している可能性のある)ボブの局所リソースのすべてを使い、アリスからの古典通信を許すと、ボブが回復できる情報量の限界はこの通信の情報量(m)によって決まる。すなわち、アリスがボブへmビットの通信を送れば、ボブが得られる全情報はmより大きくなれない。m = 0では、情報因果律は標準的なノーシグナリング原理に還元される。しかし、最も強い相関をもったノーシグナリング理論では、アリスがもっている全データセットのうち、mビット分の任意のデータサブセットのすべてにボブはアクセスできる。もし、アリスから1ビットだけが送られると(m = 1)、これはアリスのデータのうち任意の単一ビットの値にボブがアクセスできることと同じになる(しかしすべてのデータではない)。したがって情報因果律は、物理理論と非物理理論とを区別するのに役立つだろう。情報因果律、すなわちノーシグナリング条件を一般化したものは、自然がもつ基本的な特性の1つだろうと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る