Letter 生理:小胞体のストレスシグナル伝達部位へのメッセンジャーRNAのターゲティング 2009年2月5日 Nature 457, 7230 doi: 10.1038/nature07641 あらゆる真核細胞では、小胞体のタンパク質折りたたみ能力に欠陥があると、小胞体ストレスにつながり、小胞体ストレス応答(UPR;unfolded protein response)が引き起こされる。小胞体ストレスを感知するのは膜貫通型キナーゼ/エンドリボヌクレアーゼであるIre1で、これが重要な転写アクチベーター(酵母の場合はHac1、後生動物の場合はXBP1)をコードするメッセンジャーRNAの特殊なスプライシングを開始させる。小胞体ストレスがないと、スプライシングされていないHAC1 mRNA上でリボソームが停止する。この翻訳制御は、HAC1イントロンとHAC1の5´非翻訳領域の塩基対形成によって行われる。イントロンが切り取られた後、転移RNAリガーゼが切断されたエキソンをつなぎ合わせて翻訳の停止を解除し、このスプライシングされたHAC1 mRNAからHac1が合成できるようになる。次にHac1が、酵母ゲノムの7〜8%に相当するUPR遺伝子の発現プログラムを動かし、小胞体ストレスに対抗する。今回我々は、Ire1分子が活性化によって小胞体膜上で集合し、高次オリゴマーからなる分散型のフォーカスを形成することを明らかにする。スプライシングされていないHAC1 mRNAは、3´非翻訳領域に存在する2つの部分からなる保存されたターゲティング因子の働きにより、それらのフォーカスへと誘導される。Ire1のクラスター形成かHAC1 mRNAのフォーカスへの誘導を阻害すると、UPRシグナル伝達が妨げられる。ほかのmRNAであっても、その翻訳が抑制されていれば、HAC1の3´非翻訳領域にあるこの因子の働きだけで十分に、Ire1 フォーカスへと誘導できる。HAC1 mRNAの場合、イントロンによる翻訳の抑制によって、この必要条件が満たされている。シグナル伝達中心へのmRNAの誘導は、真核生物の遺伝子発現調節の新しい様式の1つといえる。 Full Text PDF 目次へ戻る