Letter 生理:肥満および痩せ型の双生児における腸内のコア・マイクロバイオーム 2009年1月22日 Nature 457, 7228 doi: 10.1038/nature07540 ヒトの腸の遠位部には莫大な数の微生物集団が常在しており(微生物叢)、微生物の助けなしでは消化できない食物中の多糖からのエネルギー抽出などの重要な代謝能を提供している。血縁関係のない健康成人数名を対象に、16S rRNAの遺伝子配列解析を行った研究では、被験者たちの腸内細菌群には相当な多様性があることが明らかにされているが、この多様性が機能や微生物叢全体のゲノム(腸内マイクロバイオーム)とどのような関係があるかはいまだに不明である。痩せたマウスと肥満マウスを用いた研究で、腸内微生物叢は、食餌からのカロリー吸収効率、並びに吸収したエネルギーをどのように利用および貯蔵するかを変化させることで、エネルギー収支に影響を与えることが示されている。今回我々は、共に痩せ型または肥満の一卵性および二卵性双生児の成人女性とその母親の糞便内微生物群の特性を明らかにし、宿主の遺伝子型、環境暴露、および当人の脂肪蓄積が腸のマイクロバイオームにどう影響を及ぼすかについて検討した。154人の被験者のマイクロバイオームから、細菌16S rRNAの9,920個のほぼ完全長配列および1,937,461個の部分配列と、それに加えて2.14ギガベースの配列を得た。その結果、ヒト腸内のマイクロバイオームは家族間で共有されるが、各自の微生物群には存在する特定の細菌系統による相違がみられ、成人の一卵性双生児間および二卵性双生児間では、かなりの程度の共変動が認められた。しかし、解析した被験者間には非常に多数の共通する微生物遺伝子が存在し、生物の系統ではなく遺伝子レベルでは、大規模で特定可能な「コア・マイクロバイオーム」を構成していた。肥満は、門レベルでの微生物叢の変化、細菌の多様性の減少、細菌の遺伝子と代謝経路の表現の変化に関連していた。本研究の結果は、生物集団の多様性があっても、機能レベルではコア・マイクロバイオームが生じ、このコアからの偏りが異なる生理学的状態(例えば痩せ型や肥満)と関連があることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る