Letter 化学:作用中の触媒の走査型透過X線顕微鏡法によるナノスケール・ケミカルイメージング 2008年11月13日 Nature 456, 7219 doi: 10.1038/nature07516 現代化学工業では、ほぼすべての生産工程で不均一触媒が利用されている。これらの触媒は通常、高表面積の固体担体上に分散させたナノメートルサイズの活性成分(一般に金属か金属酸化物)からなり、触媒の性能はナノメートルサイズの形状と、活性成分、担体、反応物分子と生成物分子の間の相互作用に依存している。不均一触媒の反応機構を解明すれば、改良型触媒や新規触媒の設計指針が得られると考えられるが、そのためには、作用状態にある不均一触媒の物理化学的組成の特徴をナノメートルスケールで詳細に調べる必要がある。走査型プローブ顕微鏡法は、ナノメートル未満の分解能で無機触媒相を研究するために使われてきたが、作用状態にある触媒の詳細な化学的情報を得ることは困難な場合が多い。それに対して、光学顕微分光法は、in situでの化学的特性評価に非常に融通が利くが、空間分解能が犠牲になり制限される。高い空間分解能と化学的特性評価能力が見込まれる最近開発された方法は、走査型透過X線顕微鏡法である。この方法を原理実証研究に使って、固体触媒の特性評価が行われている。今回我々は、高分解能電子顕微鏡用に特別に設計されたナノリアクターを改造すると、大気圧および最高350℃で走査型透過X線顕微鏡法を使って、複雑な鉄系フィッシャー・トロプシュ触媒における相変化と、生成された炭素種の性質と位置をin situでモニターできることを示す。最高500℃まで動作可能な我々のシステムによって、気体や液体環境中の固体上で起こる広範囲にわたる重要な化学過程をナノメートルの分解能で画像化する新しい機会が開かれる、と我々は期待している。 Full Text PDF 目次へ戻る