Letter 幹細胞:寡能性幹細胞は哺乳類の眼表面全体に分布する 2008年11月13日 Nature 456, 7219 doi: 10.1038/nature07406 眼の最前部である角膜の完全性は、視覚にとって不可欠なものである。世界中で4,500万人が全盲であり、さらに1億3,500万人が角膜の透明性の喪失によって両眼の視覚が著しく障害されている。それに対する治療としては、局所的な投薬や角膜移植などがあり、最近では幹細胞を用いた治療も行われるようになっている。角膜上皮は絶えず再生されている扁平上皮で、多くの哺乳類では、7〜14日間の周期で垂直方向に新しい細胞と入れ替わっている。マウスの角膜輪部で交代周期が長い細胞(ラベルを保持する細胞)が同定されたことで、輪部が長期にわたる角膜の再生を担う幹細胞ニッチであるという概念が生まれた。そのため、角膜上皮は輪部で形成された後に移動してきた細胞によって再生されると考えられており、常在する各幹細胞が限定された領域の上皮細胞を形成する他の扁平上皮とは著しく異なっている。今回我々は、マウスの角膜上皮は、連続した移植が可能であり、自己維持され、寡能性(oligopotent)幹細胞をもつこと、そして、その幹細胞は結膜環境に置かれれば杯細胞を生成する能力を有することを示す。さらに、角膜を含むブタの眼表面全体は、角膜と結膜の細胞のコロニーをそれぞれ形成する能力をもつ寡能性幹細胞(ホロクローン)を有する。したがって、輪部は角膜の幹細胞の唯一のニッチではなく、角膜の再生は他の扁平上皮と異なるわけではない。我々は、今回の知見とこれまでの報告とを統合し、輪部領域に幹細胞が多い理由を説明するモデルを提示する。 Full Text PDF 目次へ戻る