Letter 工学:ボトムアップ式有機集積回路 2008年10月16日 Nature 455, 7215 doi: 10.1038/nature07320 構成要素が自発的に組織化してパターンや構造を形成する自己集合は、有機電子機器の大量生産に対して有望な技術である。自己集合する分子を用いたボトムアップ式の方法による集積回路の作製は、1970年代に提案された。このような集積回路の基本構成ブロックは、自己集合単分子層電界効果トランジスター(SAMFET)であり、半導体はゲート誘電体上に自発的に形成される単分子層である。これまで作製されたSAMFETは、マイクロメートル未満のチャネルでしか電流変調が観測されていない。長いチャネルでの効率的な電荷輸送が起こらないのは、自己集合単分子層に欠陥が存在し分子間π-π結合が限られているためである。電界効果キャリア移動度が小さく、歩どまりと再現性が低いことが、ボトムアップ式集積回路の実現を妨げてきた。今回我々は、単分子層内に長距離分子間π-π結合をもつSAMFETを実証した。単官能基化されたアンカー基から長い脂肪族鎖によって隔てられたπ共役メソゲンコアからなる液晶分子を用いることで、高密度充填が実現された。得られたSAMFETは、バルクのようなキャリア移動度、大きな電流変調、高い再現性を示す。我々は、機能回路への第一歩として、このSAMFETを組み合わせてインバーターとしての論理ゲートを作った。パラメータのばらつきが小さいため、このインバーターを組み合わせてリング発振器を作れる。我々は、数百のSAMFETが同時にアドレス指定される15ビット・コードジェネレーターを組み立て、実際の論理機能を実証した。個々の単分子層トランジスターと機能性自己集合集積回路との間の間隙を埋めることで、ボトムアップ式エレクトロニクスについての新しい見通しが得られる。 Full Text PDF 目次へ戻る