Letter 生理:ムコリピドーシスIV型関連タンパク質TRPML1はエンドリソソームの鉄放出チャネルである 2008年10月16日 Nature 455, 7215 doi: 10.1038/nature07311 TRPML1(ムコリピン1、別名MCOLN1)は、TRP(transient receptor potential)チャネルのムコリピン・サブファミリーに属する細胞内後期エンドソームおよびリソソームのイオンチャネルタンパク質であろうと予測されている。ヒトTRPML1遺伝子の変異はムコリピドーシスIV型(ML4)を引き起こす。ML4患者では、運動機能障害、精神遅滞、網膜変性、および鉄欠乏性貧血が認められる。鉄代謝異常は神経および網膜の変性を起こす可能性があるので、鉄代謝異常がML4の臨床症状の主要な原因であると考えられる。ほとんどの哺乳類の細胞では、Fe3+を結合したトランスフェリン受容体のエンドサイトーシスによる鉄の取り込み後、あるいはフェリチン-鉄複合体のリソソームでの分解や鉄含有高分子のオートファジーによる取り込み後に、エンドソームおよびリソソームから放出される鉄が細胞内の鉄の主要な供給源となる。二価金属輸送体タンパク質DMT1(別名SLC11A2)は現在知られている唯一のエンドソームのFe2+輸送体で、赤芽球前駆細胞で豊富に発現する。ところが、遺伝的研究からは、DMT1とは関係のないエンドソームおよびリソソームFe2+輸送タンパク質の存在が示唆されている。今回我々は、放射性標識した鉄の取り込みの測定、細胞質およびリソソーム内の鉄濃度の測定、および後期エンドソームとリソソーム膜の直接パッチクランプ記録により、TRPML1が後期エンドソームとリソソームでFe2+透過チャネルとして機能していることを示す。ML4の変異は、TRPML1のFe2+透過性を種々の程度に障害し、障害程度は疾患重症度とよく相関する。TRPML1−/−ML4患者と対照となる健常者の皮膚繊維芽細胞を比較すると、TRPML1−/−の細胞で細胞質内Fe2+濃度の低下、リソソーム内Fe2+濃度の上昇、およびリポフスチン様分子の蓄積がみられた。我々は、後期エンドソームとリソソームからのFe2+放出機構にTRPML1がかかわっていると考える。今回の結果は、鉄輸送の障害がML4患者の血液学的な、また変性疾患にかかわる兆候の両方の原因である可能性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る