Letter 地球:ツァンポ峡谷の氷河による安定化で妨げられたチベット高原の河川浸食 2008年10月9日 Nature 455, 7214 doi: 10.1038/nature07322 チベット高原が、インドとアジアのテクトニクス的収束の結果として、いつどのように形成されたかについては、かなり多くの研究が集中して行われている。高原への河川の浸食を何が制限しているのかについての研究はずっと少ないが、広く受け入れられている理論では、高原南東縁の東ヒマラヤ対曲にある急激な河川の遷移点(河川が急勾配に出会うところ)が急速に浸食され、高原に波状の浸食地形ができるはずであると予測されている。したがって、高原の縁が保存されていることは理解しにくい問題であり、これを解決するには、浸食による崩壊と一致する岩石の特異な隆起か、流れの力が強いため乾燥が高原の分断を制限する単純な要因とはならないこの地域で、岩盤への河川浸食を遅らせる他の機構を考えねばならない。本論文では、長期の氷河作用による質量増加が質量損失と釣り合う地域的平衡線高度の第四紀における沈降は、主要河川でモレーンのダムを繰り返し形成するのに十分であったことを示す地形学的証拠を報告する。こうしたダムの形成は、上流での貯水と間氷期の埋積作用の影響が組み合わさって、チベット高原南東端への河川の浸食をかなり抑制した。氷河によるこのような安定化が、ツァンポ峡谷を中心とする集中度の高い河川浸食をもたらし、テクトニックな動脈瘤として知られる急速な浸食を開始させ、その場所を目立たせた一因である可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る