Letter 物性:スピン・ゼーベック効果の観測 2008年10月9日 Nature 455, 7214 doi: 10.1038/nature07321 導体を温度勾配中に置くことによって電圧が発生する現象を、ゼーベック効果と呼ぶ。その効率を示すゼーベック係数(S)は温度差に対する発生電圧の比で定義され、散乱確率と伝導電子密度によって決まる。ゼーベック効果は、ゼーベック係数の異なる2つの導体を接合した熱電対と呼ばれる素子によって、熱電変換や温度測定などに利用されている。今回我々は、電子スピンを駆動する力、すなわちスピン圧が温度勾配から発生する現象(スピン・ゼーベック効果)を観測した。我々は、近年開発されたスピン・ホール効果を利用したスピン検出技術を用いて、磁性金属で温度勾配から生じたスピン圧の測定に成功した。熱的に誘起されたこのスピン圧は、試料端から離れた場所でも存続し、単に金属を取り付けるだけで試料のどの位置からでもスピンを取り出すことができる。今回観測されたスピン・ゼーベック効果によって、スピントロニクス素子の駆動に極めて重要なスピン圧発生器を実現させることができる。スピン・ゼーベック効果により、長距離にわたって純スピン流(電荷の流れを伴わない電子スピンの流れ)も流すことができる。これらの革新的発見は、スピントロニクス研究の大きな飛躍をもたらすであろう。 Full Text PDF 目次へ戻る