Letter 免疫:バンコマイシン耐性腸球菌は抗生物質に誘発された自然免疫系の不全状態を利用する 2008年10月9日 Nature 455, 7214 doi: 10.1038/nature07250 バンコマイシン耐性腸球菌(Enterococcus)(VRE)などの抗生物質耐性菌の感染は、広域抗生物質による治療に伴って生じる、危険でコストの高い合併症である。抗生物質による共生細菌の除去が、抗生物質耐性菌の感染をどのように促進するのかは、その機構がほとんど明らかになっておらず、さまざまな推測が飛び交う領域である。本論文では、マウスに抗生物質を投与すると、RegIIIγ(別名Reg3g)の腸での発現が顕著に低下することを示す。RegIIIγは、VREなどのグラム陽性細菌を死滅させる分泌型のC型レクチンである。抗生物質を投与したマウスの腸では、RegIIIγの発現低下によって、in vivoでのVREに対する殺菌作用が著しく低下する。リポ多糖の経口投与によって腸でToll様受容体4を活性化するとRegIIIγが再び誘導され、その結果、抗生物質投与マウスのVREに対する自然免疫系を介する抵抗性が高まる。広域抗生物質による治療によって誘発されるような、粘膜自然免疫系の防御不全は、粘膜上皮のToll様受容体を選択的に刺激することで修正できることから、これを抗生物質耐性菌の定着や感染を低下させる治療法として応用できる可能性が示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る