Letter

免疫:ATPは粘膜固有層のTH17細胞の分化を誘導する

Nature 455, 7214 doi: 10.1038/nature07240

インターロイキン(IL)-17産生性CD4陽性Tリンパ球(TH17細胞)は、生体防御や一部の免疫疾患に関与するヘルパーT細胞のサブセットである。TH17細胞の興味深い特徴は、腸管粘膜固有層に選択的かつ恒常的に存在していることである。本論文において、常在細菌由来のアデノシン5′-三リン酸(ATP)が粘膜固有層に存在するユニークな樹状細胞集団であるCD70強陽性CD11c弱陽性(CD70highCD11clow)細胞を活性化し、TH17細胞の分化を誘導することを示す。無菌マウスはSPFマウスに比べ、腸管内のATP濃度が非常に低く、粘膜固有層のTH17細胞はほとんど認められない。無菌マウスにATPを全身性にあるいは直腸へ投与することにより、粘膜固有層のTH17細胞の数が顕著に増加する。粘膜固有層に存在するCD70highCD11clowはATP刺激によって、TH17分化誘導にかかわるIL-6、IL-23p19、トランスフォーミング増殖因子βを活性化するインテグリン-αVと-β8を発現し、共培養したナイーブCD4陽性T細胞のTH17分化を選択的に誘導する。ATPを投与することでT細胞依存性の大腸炎モデルがTH17分化の増強を伴って増悪することから、ATPの重要な役割がさらに明らかとなった。このような所見は健常状態と疾病における、TH17細胞の分化に対する常在細菌とATPの重要性を示しており、また、TH17細胞が腸管粘膜固有層に特異的に存在する理由に対して1つの説明を与えることになる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度