Letter 気候:新生代における両極での氷河形成の閾値 2008年10月2日 Nature 455, 7213 doi: 10.1038/nature07337 地球の新生代における氷河の歴史に関する古くからある考え方では、南極大陸での最初の大陸規模の氷河形成は漸新世の初め(約3,360万年前)に起き、その後、北半球での氷河サイクルが約3,100万年後の鮮新世末期に始まったとされている。漸新世初期の重要な事象は、深海底の酸素同位体値が数十万年以内に急速に1,000分の1.5変化したこと(Oi-1)によって特徴付けられ、これは、陸氷の成長と深海の冷却が組み合わさって起こったことを表している。しかし、同時に起こったこの冷却が深海のMg/Caの記録には一見認められないことは、南極大陸上に収容できるよりも多くの氷が成長したことを示していると論じられてきた。このことは、この期間の北半球での大陸の冷却と氷で運ばれた岩屑という新しい証拠と結びつけると、Oi-1が両極での先駆的な氷河形成を表しているという可能性が浮上してくる。本論文では、新生代の大気中CO2濃度の長期にわたる低下と軌道強制力の効果の両方を考慮に入れた、同位体をとらえる全球的な気候/氷床モデルを使って、この仮説を検証する。我々は、それ以下に下がると北半球で氷河形成が起こるCO2閾値(約280 ppmv)は、南極大陸の閾値(約750 ppmv)よりずっと低いことを示す。したがって、南極大陸での氷河形成の直後に北半球で氷床が成長するには、Oi-1の時間枠内でCO2濃度が急速に減少して、地球化学的代理指標と炭素循環モデルによって見積もられる濃度より低い濃度になる必要があるだろう。Oi-1は、両極での氷河形成ではなく、南極大陸の氷河形成のみによって最もうまく説明され、深海が最大4℃冷却したことと、南極の氷の同位体の減少が以前に示唆されたよりも少ないこと(−30から−35‰)に結びつけられることがわかった。代理指標によるCO2濃度の推定値は、2,500万年前までは我々のモデルの北半球における氷河形成閾値である約280 ppmvより高いままだが、それ以降はその濃度に近いか、下回るようになる。このことは、北半球における一時的な氷床の出現は、現在仮定されているよりも約2,000万年早かった可能性があり(それでもOi-1よりはずっと後になる)、中新世の海水準記録にみられる変動の一部を説明できる可能性があることを意味している。 Full Text PDF 目次へ戻る