Article 進化:感覚器の適応が引き起こすシクリッドの種分化 2008年10月2日 Nature 455, 7213 doi: 10.1038/nature07285 感覚系に分断選択が働くことで、感覚器の適応が引き起こす種分化(sensory drive speciation)がもたらされることは、これまで理論的には考えられてきた。しかし、実在する証拠は、ごくわずかで不完全なものでしかない。今回我々は、カワスズメ科魚類(シクリッド)の島ごとの集団中に、感覚器の適応が引き起こす種分化を明らかにした。シクリッドの視覚系で生じた分断選択による進化の生態学的および分子的な基盤を明らかにし、それに伴う雄の体色と雌の選好性までもが分岐を起こしていることを実証し、さらに続いて起こった中立な座位の分化までも示す。以上のことは、生殖的隔離が成立したことを示している。このことは、数対の同所的集団および種で再現されている。種分化の進行程度にみられる差は、環境(この場合は光)の傾度の勾配の違いにより説明付けられる。実際、種分化は、環境傾度の勾配の最も急なものを除くすべての傾度で生じていた。これは、種分化が地理的隔離を伴わずに感覚器の適応によって同所的に生じることの、最も完全な証明である。今回の結果はまた、ビクトリア湖の人為的富栄養化によるシクリッドの種多様性の崩壊を、機構的に説明している。 Full Text PDF 目次へ戻る