Letter 気候:マッデン・ジュリアン振動と北大西洋振動の季節内相互作用 2008年9月25日 Nature 455, 7212 doi: 10.1038/nature07286 古くから存在する、気象と気候の時空間スケールの差異を埋めることは、大気科学の分野が直面している重要な難問である。特に、中期の、また季節から複数年という長期にわたる気候予測には、繰り返し起こる気象パターンを解明し、その気象パターンが頻繁に起こり、持続し、遷移することの特定の原因を突き止める必要がある。こうした考え方に基づき、本論文では熱帯の主な気候学的な季節内振動であるマッデン・ジュリアン振動(MJO)が、冬季の北大西洋とヨーロッパ域を特徴付ける4つの日々の天候レジームの分布と時間的な推移の一部をを制御していることを示す証拠を提示する。北大西洋振動(NAO)レジームが最も大きな影響を受け、NAOの位相は通常いわれている約1週間の上限を大きく超えて、中期の予測が可能となる。熱帯と亜熱帯の遅延関係は非対称である。正のNAO事象の大部分は、熱帯太平洋の西部と中部でMJOによって引き起こされ東へ伝播する中緯度の低周波の波列に応答する。負のNAO事象の前兆は熱帯太平洋東部から西大西洋にかけてみられ、北大西洋のストームトラックに沿って変化をもたらす。砕波を調べた結果から、NAOの位相を決める際の、MJOによるプリコンディショニングと過渡的な渦の役割を裏付ける傾向がみられた。ここでは、日々のNAOインデックスや、NAOが起こるときのNAOレジームの正負を予測できる可能性を定量的に評価する単純な統計モデルを示す。予測の指標として用いた事前約12日間のMJOの位相情報に基づき、事例の約70パーセントの予測が成功した。天候レジームと、ヨーロッパにおける平均的な状件と異常気象が起こる可能性の両方が密接に関係していることを考えると、この有望な手法は重要であろう。これらの知見は、熱帯の大気海洋結合動態のシミュレーションと予測を改善する必要性をさらに強調するのに有用である。大気海洋結合系は、中期から長期にわたる予測可能性のよりどころであると同時に、現在の一貫した一連の予測の弱点となっている。 Full Text PDF 目次へ戻る