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免疫:1918年のインフルエンザ世界的大流行時の生存者のB細胞から得られた中和抗体

Nature 455, 7212 doi: 10.1038/nature07231

インフルエンザウイルス感染に対するヒト抗体応答の研究はほとんど血清学の領域に限られてきており、分子レベルでの解析はこれに比べて少ない。1918年のH1N1型インフルエンザウイルスの世界的大流行は、近代においては最も激甚なものであった。最近の研究によって、この特異なウイルス株の遺伝子配列が明らかにされ、1918年の世界的大流行を引き起こしたウイルスの再構築が可能になり、その例をみない毒力表現型が明らかにされた。しかし、このウイルスに対する適応免疫についてはほとんど明らかになっていない。我々は、1918年ウイルスの塩基配列とそれによって作られた1918年ウイルスのヘマグルチニン(HA)組み換えタンパク質抗原を使って、1918年の世界的大流行時の生存者にウイルスへの自然曝露によって誘導された中和抗体のクローンレベルでの特徴について調べた。本論文では、1915年あるいはそれ以前に生まれた32人について、いずれにおいても、世界的大流行のおよそ90年後でも1918年ウイルスに対する血清反応がみられたことを報告する。検査した8つのドナー標品のうちの7つでは、この1918年HAに結合する抗体を分泌する循環血内B細胞が認められた。被検者からB細胞を単離し、3人のドナーから1918年ウイルスに対して強力な中和活性を示したモノクローナル抗体5つを作製した。これらの抗体は、1930年のH1N1型豚インフルエンザウイルス株の遺伝的によく似たHAとも交差反応性を示したが、それより年代が新しいヒトインフルエンザウイルスのHAとは交差反応性を示さなかった。この抗体遺伝子は体細胞変異の頻度が異常に高かった。1918年HAタンパク質に高親和性で結合する抗体は、非常に強力なウイルス中和能をもち、致死性の感染からマウスを防御した。阻害を免れたウイルスの単離によって、抗体がHA表面上の古典的な抗原部位を認識することが示唆された。したがって、今回の研究は、1918年のインフルエンザ世界的大流行の生存者が、この例をみないほど毒力の強いウイルスに対する非常に高い機能をもつウイルス中和抗体を保持していること、またヒトではウイルス暴露後数十年間にわたって(100歳近くになるまで)、ウイルスに対する記憶B細胞を循環血内に維持し続けうることを実証している。

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