Letter 環境:異常高温年の後に起こる生態系の二酸化炭素取り込み量の低下は長引く 2008年9月18日 Nature 455, 7211 doi: 10.1038/nature07296 陸上生態系は、光合成と呼吸、つまり正味の一次生産力と従属栄養生物の呼吸のバランスにより、大気との間でやりとりする二酸化炭素のフラックスを制御しており、ある生態系が炭素を隔離するか大気中に放出するかはこのバランスによって決まる。全球的なデータセットと地域限定的なデータセットにより、正味の生態系二酸化炭素交換量(NEE)をさまざまな時間スケールで決定する生物地球化学的過程は、気候と気候変動の影響を受けることが示されている。気温異常など、単一の気候変数が年次的時間スケールでNEEと炭素隔離量に及ぼす影響に関しては、その定量に必要な実験データが存在していない。これは、野外試験では、気温と降水量の年内および年次的な自然変化による交絡作用が避けられないためである。本論文では、184 m3の閉鎖型ライシメーター4基の中に12,000 kgの長草型平原土塊を原状のまま複数設置して行った、4年間の研究の結果を報告する。土塊12個のうち6個は、研究の2年目を異常高温年とし、NEEを含む生態系各過程の速度を継続的に定量した。極端な高温の年とその翌年の2カ年にわたって、NEEは高温のために低下した。極端な高温の年は渇水が起こったために正味の一次生産力が低下し、その翌年は土壌生物相の従属栄養生物の呼吸が活性化したためである。データから、いったん高温にさらされた実験生態系では、NEEが対照生態系の水準まで回復するのに2年を要することが示された。このタイムラグのため、いったん高温にさらされた生態系では、対照生態系と比較して、全研究期間を通じた正味の生態系炭素隔離量が3分の1に低下した。今回の知見は、人為起源の二酸化炭素濃度の上昇の結果と考えられる異常高温年の頻度が上がれば、陸上生態系の二酸化炭素取り込み量が持続的に低下する可能性を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る