Letter 進化:実験的進化モデルの一般化可能性の限界の理解 2008年9月11日 Nature 455, 7210 doi: 10.1038/nature07152 進化や生態学の理論をin situで検証する難しさを考えると、その代わりになるものとしてin vitroモデル系は魅力的である。しかし、ある実験結果がそのin vitroモデルだけに通用するのかどうかを判断できるだろうか。また、結果がそのモデルに特異的だとしたら、異なったふるまいをする可能性のある系の特性を明らかにして、なぜ特異的になるのかを解明できるだろうか。今回我々は、バクテリオファージT7と大腸菌の共進化系における表現型の多様性と資源入力との間の関係を事例史として用いて、これらの問題を検証した。この関係についての数理モデルを作製し、宿主-寄生体の共進化モデルのより一般的な種類の一例と定義づけ、これが実験結果をよく表すことを明らかにした。次に、このモデルを微調整することにより、資源入力の関数としての多様性が、共進化の相手が変わる(例えば、λバクテリオファージと大腸菌)とどのような挙動を示すかを検討した。バクテリオファージをもたない集団とは対照的に、共進化する集団では資源の違いに伴って多様性の変動が常にみられ、共進化の地理的モザイク理論が支持された。しかし、この種の変動はすべてに通じるものではない。感染性の細かい点が非常に重要で、遺伝子間相互作用を変化させたT7-大腸菌の場合には、資源入力が大きいときに多様性が低いのに対し、対立遺伝子が一致する相互作用の場合には、資源入力が大きいときに多様性が最大になる。in vitro系に特有の結果を取り出し、異なった挙動をとる可能性のある系の特性を明らかにし、このような違いを生む生物学的基盤を理解するには、in vitro系と適切に設定された数理モデルとを組み合わせるのが、効果的な手段である。 Full Text PDF 目次へ戻る