Letter 医学:FTY720の一過的投与は免疫を介した慢性ウイルス感染の排除を促進する 2008年8月14日 Nature 454, 7206 doi: 10.1038/nature07199 多様な微生物病原体にとって、感染の結果は決まっていない。ある個体ではその微生物は排除されるが、別の個体では慢性感染が成立する。このバランスを変える要因は多くの場合、明らかではない。汎用されている慢性ウイルス感染のモデルでは、C57BL/6マウスはリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のアームストロング株を排除するが、クローン13株の感染は持続される。本論文では、このアームストロング株は感染後1〜3日目で重度のリンパ球減少を起こすが、クローン13株は起こさないことを示す。クローン13株を感染させたマウスで、感染後0〜2日目にFTY720という薬剤を投与して一過性にリンパ球減少を増強させると、30日目までに感染は排除される。薬剤投与時にCD4陽性T細胞が欠如しているとウイルス排除は起こらないことから、この薬剤が直接的な抗ウイルス効果を発揮していないことがわかる。注目すべきは、既に成立している持続感染にFTY720を投与した場合にもウイルス排除が起こることである。どちらの感染モデルでも、FTY720の投与により、LCMV特異的なCD4やCD8陽性T細胞による応答が維持あるいは増強される。一般にFTY720は新しい免疫抑制剤として認識されているため、この結果は直感に反するものである。FTY720は進化的に完全に保存されている宿主の経路を標的とするため、今回の結果をヒトの慢性微生物感染症治療における新しい免疫療法として応用できるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る