Letter 生化学:非リボソームペプチドシンテターゼの動的なチオール化-チオエステラーゼ構造 2008年8月14日 Nature 454, 7206 doi: 10.1038/nature07162 非リボソームペプチドシンテターゼ(NRPS)とポリケチドシンターゼ(PKS)は、いろいろな治療的・抗菌的性質をもつ多くの二次代謝産物を産生する。脂肪酸シンターゼ(FAS)のように、これらの酵素は、保存されたドメインからなる各々のモジュールにより、既定のモノマー単位が成長鎖に組み込まれていく分子組み立てラインを作っている。ドメインまたはモジュールの相互作用の解明は、この組み立てラインの酵素的構成を再構築し、治療的性質が向上した新しい生理活性化合物の設計への道を開く可能性がある。今までのところ、ドメイン間の相互作用と情報伝達の仕組みについては、ほとんど構造情報が存在しない。これは、ドメイン間に本来的に備わっている運動性が結晶化を妨げているためかもしれないし、結晶化させた分子が活性をもつドメインの配向を表していないためかもしれない。溶液中では、分子サイズが大きく複数のドメインをもつ断片(35キロダルトン以上)はその分子内運動性により核磁気共鳴法による構造決定が難しく、進んだ技術が必要とされる。今回我々は、大腸菌(Escherichia coli)エンテロバクチンシンテターゼのEntFというNRPSサブユニットの、チオール化とチオエステラーゼの2つのドメイン(T-TE)からなるアポ酵素の溶液構造を示す。ホロ酵素では、Tドメインは4′-ホスホパンテテインへつながれた成長鎖を保持しているが、TEドメインは加水分解と鉄キレート性エンテロバクチン環状化を触媒する。T-TEからなる2ドメインは輪郭のはっきりした相互作用面をもつコンパクトだが動的な構造を形成し、2つの活性部位の間にはTからTEへの基質の輸送に適した距離がおかれている。我々は、特定の領域でのドメイン間およびドメイン内の大きな運動を観察し、生合成に関与するタンパク質との相互作用により、その運動が調節されていることを示す。T-TE様の2ドメインは通常、多くの組み立てラインで鎖終止装置の最後の段階を触媒するので、今回述べたT-TE相互作用は、NRPSやPKS、FASの機能一般に関するモデルとなるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る