Letter 気候:北アメリカ氷床の力学と氷期の10万年サイクルの開始 2008年8月14日 Nature 454, 7206 doi: 10.1038/nature07158 約270万年前の北半球における大きな氷河作用の開始は、鮮新世後期の気候寒冷化により引き起こされた可能性が高い。北半球の氷床が拡大と後退を繰り返す氷河作用は、この長期的な気候寒冷傾向に重ね合わされて、地球の軌道パラメーターの変動と関連付けられてきた。軌道変化によって駆動される氷期サイクルに関連する興味深い問題の1つは、41,000年周期から100,000年周期への気候サイクルの遷移が、日射強制力が見かけ上変化することなしに起こったことである。この遷移を説明するためにいくつかの仮説が提案されており、それらには氷床の力学を含むものと含まないものがある。古気候に関するこの問題の確実な答えを見いだす上での困難は、氷床体積や海水準に関する十分に長期の記録を欠くことに関係している。本論文では、包括的な氷床モデルと簡単な海洋温度モデルを用いて、海底の海洋酸素同位体記録から、地表気温、氷体積、海水準に関する300万年にわたる相互に矛盾のない記録を復元した。古気候に関する制約条件があまりわかっていないため、これらの記録とそれらの相対的な時間的関係はかなり不確実だが、この結果は、合体した北アメリカ氷床が、日射極大に耐えて残存する能力を増して大陸規模の大きさにまで達したために、100,000年周期が徐々に現れた可能性を示唆している。非常に広大になって底が溶けた氷床は、その後の日射極大に応じて底部のすべりが増加して急速に薄くなり、その結果氷期の終了が起こったのだろう。個々の氷期の間の気温と氷体積の時間的な変化に関する評価に基づき、100,000年の氷期サイクルの成立には氷床の力学および氷と気候の相互作用が重要であり、また、北アメリカ氷床の成長が促進された後に起こった氷床の合体が重要な要素であったことが立証された。 Full Text PDF 目次へ戻る