Letter 物理:強く相互作用するフェルミ気体を光電子分光法を使って調べる 2008年8月7日 Nature 454, 7205 doi: 10.1038/nature07172 極低温原子気体は多体量子物理を研究するモデル系を提供する。フェルミ気体を使った最近の実験で、強い粒子間相互作用がある超流動状態への相転移が実証された。この系は、バーディーン-クーパー-シュリーファー(BCS)超伝導の物理をボーズ-アインシュタイン凝縮体(BEC凝縮体)の物理学的性質と結びつける「BCS-BECクロスオーバー」を実現する。この系の多数の性質が研究されているが、単一粒子励起スペクトル(多体理論が直接予言する基本特性)の測定はまだ行われていない。本研究では光電子分光法を使って、強く相互作用する40 K原子のフェルミ気体の素励起とエネルギー分散を直接調べた。実験では、弱く相互作用する状態へのスピンフリップ遷移を通して、高周波光子により1個の原子が強く相互作用する系から放出される。我々は、BCS-BECクロスオーバーの尖点とクロスオーバーのBEC側で単一粒子の占有状態密度を測定し、これらの結果をほぼ理想的なフェルミ気体の場合と比較した。臨界温度付近では、単一粒子スペクトル関数は大きなペアリングギャップと符合する形で大きく変更されることを示す。我々の結果は、高い転移温度の超伝導体のデータと比較できるようなやり方で、多体系の物理学的性質を探査している。電子材料の光電子分光研究と同様、我々の極低温原子気体に対する測定法は低エネルギー励起を直接測定し、その結果、励起ギャップおよび擬ギャップを明らかにできるものである。さらに、この手法は、角度分解光電子分光法に相当する方法も与え、例えば光格子ポテンシャル中の原子のような異方的な系を調べるのにも使えるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る