Letter 感覚:きのこ体のcAMPシグナル伝達がショウジョウバエの温度選好行動を調節する 2008年8月7日 Nature 454, 7205 doi: 10.1038/nature07090 哺乳動物のような恒温動物は、代謝速度の変化や発汗などの生理的反応によって体温調節を行う。対照的に、変温動物、例えばショウジョウバエ(Drosophila)の体温は、周囲環境との熱交換の結果決まるが、これは体の容積に対して表面積が大きいためである。したがって、これらの動物は、遺伝的に決定されている至適温度にできるだけ近い温度環境に本能的に移動すると考えられる。ショウジョウバエが本能的に好む温度は、哺乳動物の「設定されている」温度と機能的に同等である。種々の温度作動性TRPチャネルが見つかっているが、ショウジョウバエの脳で好ましい温度の決定を担う分子成分や細胞成分はまだ知られていない。我々は、ショウジョウバエで温度選好行動(temperature preference behaviour;TPB)に関する大規模な遺伝子スクリーニングを行うことによって、これらの要素を同定した。並行して、破傷風毒素や種々の脳領域特異的GAL4により発現させたカリウムチャネル(Kir2.1)を使ったニューロンの限局的不活性化により、ショウジョウバエでTPBを制御する脳領域の位置決定を行った。本論文では、きのこ体(MB)とサイクリックAMP-cAMP依存性プロテインキナーゼA(cAMP-PKA)経路がTPBの制御に不可欠であることを示す。さらに、cAMP-PKA経路の要素をMBに選択的に発現させるだけで、対応する変異体のTPB異常を救済するのに十分であった。温度選好は、種々のPKA経路変異体のMBにおけるcAMPとPKA活性レベルによって影響された。 Full Text PDF 目次へ戻る