Letter 進化:ヘビの牙の進化的起源と発生 2008年7月31日 Nature 454, 7204 doi: 10.1038/nature07178 高等ヘビ類の多くは、牙(毒腺を伴う特殊な歯)を用いて獲物や外敵に毒液を注入する。牙が上顎の前方にある前牙類(コブラやクサリヘビなど)と後方にある後牙類(ヨーロッパヤマカガシなど)があり、いずれも多様であることが知られている。ヘビの進化に関しては、前牙と後牙の起源が進化的および発生的に同一であるのかどうかが重要な問題となっている。この問題を解明することで、高等ヘビ類の大規模な放散をもたらした主要な進化的移行と、それに関連する発生事象を突き止めることができるかもしれない。今回我々は、8種にわたるヘビの胚96個に関して、上顎の歯形成上皮を可視化することでこの問題を調べた。マーカーとしてソニック・ヘッジホッグ遺伝子を用い、41個の胚に関して発生を三次元的に再構築した。前牙は上顎の後端から発生し、形態形成が後牙と酷似していることがわかった。このことは、両者が相同であることと一致している。前牙類では、上顎の前部でソニック・ヘッジホッグが発現せず、個体発生的アロメトリーによって、牙が発生起源である後部から成体の前部に移動する。このことは、前牙が祖先では後部に位置していたことと整合している。後牙類では、牙が独立した後部の歯堤から発生し、後部の位置を保ち続ける。今回の知見を踏まえて、我々はヘビの牙の進化に関して新たなモデルを提示する。それは、歯形成上皮の後部小領域が残りの歯列と発生的に分離され、それによってこの後方歯が独立的に毒腺と密接に関連して進化することが可能になり、系統ごとに高度な差がみられるようになったとするものである。この発生事象により、新生代には高等ヘビ類の大規模な放散が促進され、現生ヘビ類にみられる高度な多様性が生じたと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る