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細胞:ショウジョウバエ成虫の後腸幹細胞の挙動はWntシグナル伝達とHhシグナル伝達によって制御される

Nature 454, 7204 doi: 10.1038/nature07156

腸管では、自己複製能力をもつ腸管上皮幹細胞(ISC)集団から新しく生じた細胞で老化細胞を置き換えることによって、適切な機能が維持されている。哺乳類の腸では、ISCの自己複製、増殖、分化は陰窩-絨毛軸に沿って起こり、Wntとヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路によって制御されている。しかし、発生中の腸管上皮でISCを特定する機構や、ISCを自己複製能力のある幹細胞状態に保つのを助けるシグナル伝達中心については、ほとんどわかっていない。今回我々は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)成虫で、後腸のISCが前側の狭い区域に限られて存在することを明らかにし、この区域を後腸増殖域(HPZ)と名付けた。HPZでは、ISCの自己複製とその後の増殖、ISC子孫細胞への分化が、局所的に出されるWingless(Wg:ショウジョウバエのWnt相同体)シグナルとHhシグナルによって制御される。HPZの前側に限られたWgの発現がニッチシグナルとして働き、細胞をゆっくりした周期の自己複製相に保つ。細胞が分裂してWg源から離れて後側へ移動すると、急激な増殖相に入る。この増殖期に細胞周期から離脱して分化を開始するには、Hhシグナルが必要である。このように特徴的な増殖動態とシグナル伝達特性を持つHPZは胚の段階で生じ、幼虫段階で活性化され、そこで成虫のISCを含めた全後腸細胞が作られる。ショウジョウバエのHPZにおける細胞の自己複製機構とその遺伝的制御は、哺乳類の腸でみられる機構、制御と非常に類似性が高い。今回のショウジョウバエHPZの解析により、幹細胞の特異化と制御についての手がかりが得られ、自己複製、増殖、分化を促すシグナルの空間パターンの設定がどのように起こるかが、遺伝学的に扱いやすいモデル系で明らかになった。

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