Article 細胞:新種のホモセリンラクトンからなるクオラムセンシング・シグナル 2008年7月31日 Nature 454, 7204 doi: 10.1038/nature07088 クオラムセンシングとは、細胞間で行われる情報伝達のことで、これによって細胞の密度に応じた遺伝子発現が可能となる。多くの細菌はアシルホモセリンラクトン(アシル-HSL)シンターゼを使って脂肪酸HSLクオラムセンシング・シグナルを生成させ、これがシグナル受容体に作用して特定の遺伝子の発現を制御する。アシル-HSLの脂肪酸アシル基は脂肪酸生合成に由来するもので、シグナルに特異性を与えるが、シグナルの種類は限られている。本論文では、光合成細菌Rhodopseudomonas palustrisがアシル-HSLシンターゼを使い、細胞内に貯蔵された脂肪酸ではなく、環境中のp-クマル酸を用いてp-クマロイル-HSLを産生することを示す。この細菌には脂肪酸アシル-HSL受容体と相同性のあるシグナル受容体があり、これがp-クマロイル-HSLに応答して全体的な遺伝子発現を調節する。また、Bradyrhizobium属細菌やSilicibacter pomeroyi(細菌プランクトンの一種)などもp-クマロイル-HSLを生産していることがわかった。今回の知見は、アシル-HSLを介したクオラムセンシングの可能性の幅を広げるものであり、環境シグナル伝達におけるクオラムセンシングの役割という重要な問題を提起している。 Full Text PDF 目次へ戻る