Letter 血管:VEGFR-3の遮断は血管新生の出芽と血管網形成を抑制する 2008年7月31日 Nature 454, 7204 doi: 10.1038/nature07083 血管新生、すなわち既存の脈管構造からの新血管の成長は、腫瘍増殖や加齢性黄斑変性などの病的状態における重要な過程の1つである。血管内皮増殖因子(VEGF)は、内皮細胞のVEGF受容体(VEGFR)チロシンキナーゼを活性化することにより、血管新生とリンパ管新生を刺激する。VEGFR-3(別名FLT-4)は胎生期にはすべての内皮に存在し、成体ではリンパ管内皮に限局的に存在するようになる。ところが、腫瘍や創傷の微小血管では、VEGFR-3の発現が増加している。今回我々は、VEGFR-3が血管新生の出芽部分に豊富に発現し、VEGFR-3に遺伝子操作を加えたり、モノクローナル抗体によりVEGFR-3シグナル伝達を遮断したりすると、マウスの血管新生モデルで出芽、血管密度、血管の分枝、および内皮細胞増殖の低下が起こることを示す。VEGFR-3刺激はVEGFR-2(別名KDRあるいはFLK-1)阻害剤存在下でも、VEGF誘導性血管新生を増加させ、血管新生を持続させるが、これに対してVEGFR-3とVEGFR-2に対する抗体の組み合わせは、血管新生と腫瘍増殖の相加的な阻害を引き起こす。さらに、ノッチシグナル伝達経路を遺伝的あるいは薬理学的に停止させると、内皮での広範なVEGFR-3発現と過剰な出芽が引き起こされ、これらはVEGFR-3シグナル伝達の遮断により阻害された。以上の結果は、VEGFR-3が血管網形成の調節因子であることを示唆している。VDGFR-3の標的化により、抗血管新生治療の有効性を高められる可能性があり、とくにVEGFあるいはVEGFR-2阻害薬に抵抗性の血管に対して有望と考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る